KiCadを使ってカスタムPCB(基板)を発注してみた。 その1
数は多くありませんが、これまでいくつかのPCB基板をカスタムで作った事があります。
中学校の技術の授業で、銅板付きの板を液体に浸けて、ラジオか何かの基板を作った記憶もありますが、この記事で意味するカスタム基板はその類ではなく。。 基板デザイン用のPCアプリで作図して、「gerber」と呼ばれるファイルに出力して、それを業者に送って基板を作ってもらうタイプのカスタム基板になります。
これまでは、『Eagle (イーグル)』という基板デザインアプリの無料版を使ってデザインしていましたが、いくつか制限があるので、今回久しぶりに基板をデザインするのにあたって『KiCad』というオープンソースの無料アプリを使ってみました。
※ 大学にいた頃は『Altium Designer』がほとんどのPCで使えたり、過去に働いていた会社でも使っていたので雑用で使ったりはしていましたが、個人で使うとなるとかなりの出費になるのと、頻繁に使う事もないので無料アプリを使うという選択になっています。
Eagle/Autodesk Eagle
Eagleは、にAutoCADで有名なAutoDeskに買収されて「Autodesk Eagle」という名前になったはずですが、それ以降はアプリが重くなったという声が多数あったのと、にはAutoDeskによるEagleのサポートが終るみたいです。
無料版だと、扱える基板が:
- 裏面と表面の2レイヤーまで
- 総面積が80cm2まで
という制限がありますが、Eagleの利点としては昔からあったアプリなので、ダウンロードして使える電子パーツのライブラリの数が多いという点があるかもしれません。
アプリのバージョン
あくまでも個人的な見解ですが、使用頻度が低いデザインアプリほどアプリのバージョン更新をせずに使う様にしています。 また、複数のPCで使う事もあるので、全てのPCでアプリのバージョンが同じになる様にも注意しています。
アプリのパージョンが変わった際に仕様も一部変更になったりすると、実際の出力が微妙に違ってしまう場合があって、気が付かない内に出力が変わっているという場合もあります。
頻繁に使うアプリの場合であれば、アプリのバージョンアップによる利益は大きいはずなのと、何かの不都合もすぐ見つかるといますが、頻度が低い場合は、使う毎にバージョンアップによる不都合の対応をしていると逆効果になってしまう場合もあります。
KiCad
オープンソースのアプリで、無料で使えます。 Eagleの様な扱える基板の制限もありません。
また、Eagleやほかのアプリからのファイルをインポートする機能も付いています。
「KiCadが無料で使えて制限も無いのならなぜ使わなかったの?」という声があるかも知れませんが、実は、大昔に1度「KiCad」を試しに使ってみた事があったのですが、その時点ではまだ動作が不安定だったので乗り換え判断までは到達しなかった覚えがあります。
最近では「KiCad」は普通に使われているアプリの様なのでとりあえず試しに使ってみようという処からはじまりました。
基板のデザインではカスタマイズされた各パーツライブラリが割と重要だと思うので、アプリのバージョンアップ同様に、そう頻繁にアプリを変更してライブラリもカスタマイズし直しという繰り返しを避けたいのもあります。
例えば、表面実装のパーツを基板上に置きたい場合だと、有名なパーツであればライブラリーから選ぶ事が出来て、ライブラリーが無くても「SOT-23」とか「SOT-223」などといった標準化された基板パターンがあるので、ライブラリーから適したパターンを選択すれば良いのですが。。。 同じパターン名でもパーツによって寸法が微妙に違う事も良くあるので、各パーツごとに微調整が必要になるのが普通です。
また、出力された基板ファイルは見ただけでは問題があるかどうかは分かりにくくて、実際に基板にした後に、基板のパターンが実際の部品と一致しないとか、リフロー向けのパターンが選択されていて、手作業のでの半田付けにはパターンに余裕がないという事が判る場合もあります。
デザイン段階で部品の寸法を何度もチェックしていますが、それをすり抜けて、実際に基板になった段階で気が付くという失敗は絶対にないとは言えません。
なので、以前に、自分のカスタム基板に使ったパーツだと、「以前使ったから大丈夫」又は「前回修正したから今回は大丈夫」というフラッグが立っので安心して使う事が出来ます。(これでアプリが変わるとまた1からやり直しになります。。。)
海外の格安基板製造業者 (パネライズ対応)
総面積が80cm2までの基板を1枚だけ設計してgerberファイルにして発注するのであれば「Eagle」でも特に問題がないのですが、パネライズに対応した業者に発注する際は指定されたサイズ内なら小さい基板を複数パネライズされていても同じ値段になる場合があります。
以前使った基板製造業者だと、
というプランがあるので、例えば、2.5cm×5cmの基板の場合は縦に4列、横に2行でパネライズすると10cm×10cmの大きさに8枚の同じ基板を並べてそれが10枚でUS$4.90+送料、合計で80枚の基板が出来上がります。
但し、無料版のEagleだと面積の制限があるので、10cm×7.5cmの大きさに6枚分パネライズするのが上限で総面積は75cm2、それ以上の数だと80cm2の上限を超えてしまいます。
この場合だと同じ値段で60枚の基板が出来上がります。
「そこまでの枚数の基板が必要かどうか」という話にもなりますが、基板によっては改造して違う用途に使える様にできる他、格安業者だと基板の製造不良がある場合もあるので必要最低限の枚数よりも多い方が万全だと思います。
Eagleでパネライズ
「Eagle」だと、パネライズする際にコピー&ペーストでパネルを複製していきますが、この際に新しく追加された基板の部品番号がすでにある部品と重ならないように自動で変更されます。
このまま部品番号を使ってしまうと複製された部分の番号の全てがおかしくなってしまうので、複製の前にスクリプトを使ってオリジナルの部品番号のレイヤー(tNameとbName)を、別の新規レイヤーとしておのおの、_tNameと_bNameとしてコピーしする必要があります。
コピーしたレイヤーは部品番号とは認識されないので複製しても番号が更新される事はなくgerberファイルにシルクスクリーンとして印刷される様にすればオリジナルの部品番号がパネライズされた基板すべてに使われる様になります。
この後、どこで基板を切断するかを示す「V-Cut」の線を追加すればgerberファイル出力の前準備が完了ます。
ただ、手作業の部分が多いので少し気が抜けていると発注後、送られて来た基板を見て「番号がおかしいい!!」となったことが過去に数回かありました。。。
KiCadでパネライズ
今回「KiCad」を使ってパネライズをしてみましたが、手作業ではなく、「KiCadコマンドプロンプト」でスクリプトコマンドを実行する事で処理が終わったのでとても簡単でした。 なのでEagleを使っていた時に時々あった手作業中の間違いがかなり少なくて済むと思います。
スクリプト処理で簡単でしたが、ここで忘れてはいけない落とし穴が一つあって、スクリプト処理でパネライズされたpcbファイルには「V-Cut」用の線が追加されますが、何故か「Edge.Cuts」レイヤーではなく、「User.Comments」レイヤーに設定されていました。
なので、KiCadで初回にデザインした基板は4枚が1枚につながったままの切れていない状態で納品されました。。。
※: スクリプト処理後は「Edge.Cuts」になっているか必ず確認しましょう。 でないと後で基板をカッターナイフで何回もなぞって切らないといけなくなりますwww
いつの間にか「KiCad」で基板をデザインをする話になっていますが、機能やUIはそれなりに充実していると思います。
唯一、「Eagle」で使う事が多かった、プロパティを選択してパーツにペーストする方法を発見していないので、その方法が分かれば、現時点では基板デザインアプリとしては満足と思えるかもしれません (個人的な意見です)。
KiCadではまだ、1つの基板デザインしかしていないので、使い込んでいるという実感はまだありませんが、「その2」ではKiCadで初回デザインした基板についての感想を書きたいと思います (つづく)




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