KiCadを使ってカスタムPCB(基板)を発注してみた。 その2

これまではEagleを使ってPCBをデザインしていましたが、今回、初めてKiCadを使ってPCBを発注してみました。


いつもパネライズに対応した業者を使っているのですが、Eagleでパネライズの為に回路をコピー&ペーストをすると、コピーされた部分のパーツ番号が(重複しない様に) 勝手に増加されます。

なので、Eagleだと、コピーする前にオリジナルのパーツ番号のレイヤを別のレイヤに複製しておいてからコピー&ペーストをして、パネライズが終わった時点でパーツ番号のレイヤを削除してから。複製したパーツ番号のレイヤを最終的なパーツ番号のレイヤに書き換えるといった作業が必要でした。

頻繁にやっていれば間違う事はないと思いますが、久々にやるとどこかのステップを忘れていて、出来上がって送られてきたPCBを見てからパーツ番号がおかしくなっているのに気が付く事がこれまでに数回かありました。。


幸い、KiCadではスクリプトを使うと、パネライズの時にパネライズの工程でパーツ番号が変わってしまう事はないのですが、実施に送られて来たPCBを確認したら「Eagleの時と違う!」と思った事が、その1で書いた、スクリプトで追加されたV-Cutのレイヤがおかしかったのに加えて、もう1つあったので、今回はそれをメモしておきます。


スルーホールVIAとはんだマスク

結果から言うと、KiCadで追加したVIA(ビア)にはデフォルトでソルダマスク層が指定されない様です。


VIA (ビア)はPCBに穴を開けて別のレイヤ(層)にトラックを繋げたりするのに使われます。

VIAの透過イメージ
PCB中のVIAの透過イメージ

VIAの穴の内側の表面は銅メッキ処理がされて他の銅箔層との電通が確保され、また各銅箔層でVIAの穴の周りには「ランド」と呼ばれる円形の銅箔が追加されます。

VIAの断面は次の様なイメージになります。

VIAの断面イメージ
VIAの断面イメージ

このままの状態だと、そのまま長時間放置すると穴の内側のメッキが錆びて接続不良が出る可能性もあるので、最終的にこの穴をどうするべきかという問題があります。

業者によっては樹脂でVIAの穴を埋める割高のオプションもあったりしますが、使っている格安のPCB業者の発注Webページではそういったオプションは見当たりませんでしたw


今回、KiCadで初めてデザインした基板が届いて気が付いたが、KiCadだとVIAにはデフォルトでソルダマスク層が指定されない様という事ですが、結果として、全てのVIAが「Tented」なっていました。

「Tented」VIAの断面イメージ
「Tented」VIAの断面イメージ (青色の部分はPCBのコーティング剤を表しています)

「Tented」は穴の上に絶縁保護コーティング剤を塗ってどうにか閉じてしまおうという方法ですが、穴の口径が十分小さいければコーティングがテント状に幕を張って穴を塞いでくれますが、穴の直径が大きいと穴は塞がりません。


次は実際に送られて来たPCB2枚の接写画像ですが、トラックVIAが2つずつ写っています。 ロットによってコーティングの量にもムラがある様でどのVIAも穴は閉じていませんが、穴の塞がり具合は場所によってまちまちになっています。

VIA例1
VIA例2
ソルダマスクが設定されていないVIA(𝝫0.6mm)の例

このPCBのVIA穴の直径は𝝫0.6mmですが、この直径だと、いつも使っている業者のTentedではVIA穴が塞がれない様です。。。


そもそもKiCadで指定されない「ソルダマスク層」って何?と疑問に思っている方もいるかもしれませんが、基板の表面に塗られるコーティング剤を防ぐマスキングの為のレイヤ(層)ですが、そのままだと下の銅箔が剥き出しになるので、コーティングを塗る代わりにメッキ処理がされます。

上の画像でいうと、上下に「LED」と書いてある部分の間にある、円形と四角形のスルーホールの周りには「ソルダマスク層」が設定されているので、銀色にメッキ処理がされてはんだ付けが出来る様になっています。。。 というよりも、パッドははんだ付けをするものなので、デフォルトでソルダマスク層が設定されています。


EagleでPCBをデザインしていた時はVIAにはソルダマスク層が設定されていたので、これ以前に依頼したPCB基板のVIAの穴の周りはメッキ処理がされて銀色になっていました。

断面図だと次の様になります:

ソルダマスク付きVIAの断面イメージ
ソルダマスク層 (灰色の部分) 付きVIAの断面イメージ

個人的にはVIAの穴は、一つ一つにはんだを流し込んで埋める様にしていますが、これも温度変化の際には、はんだとメッキの膨張率が違うので長い目で見ると良くないとかどうのこうの。。あるみたいです

本当なら樹脂で穴を埋めるオプションが良いらしいのですが、格安料金でPCBを作っているのでそういったオプションはないみたいですw

で、今回のKiCadでデザインした基板ですが、VIAが全てTentedになっていて、VIA穴の周りは樹脂コーティングされていてメッキ処理がされていません。なので、はんだゴテをあてても熱がうまく伝わらずVIA穴にはんだを流し込む事はできませんでした。

結果としては基板のVIAは、穴の開いたTented VIAになっていて、穴の内側のメッキも剥き出しのままになっています・・・


まとめ

KiCadを使う事でパネライズ時のちょっとした問題が改善されましたが、まだまだ気を抜くと忘れてしまう工程があります。。(仕方がないとは思いますが)

KiCadのVIAのソルダマスク層については、基板の製作会社の注文ページでVIAをどうするかという設定がある場合は特に気にする事はないのかもしれませんが、場合によってはKiCad上でVIAにソルダマスク層を追加しないといけないみたいです**・・


  • : 会社によって特定の設定が必要になる事があるはずです。
  • **: KiCadのVIAに自動的にソルダマスク層を追加する方法をまだ見つけていないので今後の発見に期待したいかと。。


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